妾の胸にはぽっかりと丁度拡げた手のひらが一つ収まるほどの穴が開いておりまして、此れは一体全体どう云う事なのでございましょうか、と先ほどお屋敷を訪ねて来られた赤い装束をお召しになられた淑女にお尋ね申し上げました処、「其れは貴方がご自身で召された事実、即ち虚構と云うものでございましょう」と仰言り、スウプをすると一さじお召しになられました。
妾は生来、自らが取る言動、行動を以て他所様を傷付けるのではないかと云う妄想が在る故に妾は他所様を立てて接する事を美徳としておるのです、と先ほどお屋敷を訪ねて来られた黒いお召し物を召された淑女に申し上げました処、「其れは貴方ご自身がその様に接される事を望んでおられる、若しくは御身を傷付けられる事を極端に恐れるが故、即ち臆病故のものにございましょう」と仰言り、スウプをすると一さじお召しになられました。
此れは真実の檻。其れは目に見えぬ理。
此れは誰が為のもの?ただ其の答えを知りたいだけ。
言葉を見失うは、貴方を傷付けぬ為。
言葉を選ぶが故、静寂を生む——。
此れは真実の檻。其れは目に見えぬ理。
此れは誰が為のもの?ただ其の答えを知りたいだけ。
甘く淡く摇らめく霧に包まれたら、綺麗な嘘で染まる言葉さえ
何もかもを隠して誰の目にも触れず、綺麗なままの私。——全ては見せずに。
妾は全ての事柄を論理的に考えており、無駄な努力はしないように心掛けて日々を生きておるのです、と先ほどお屋敷を訪ねて来られた青いお召し物を召された小さな淑女に申し上げました処、「其れは貴方ご自身が幼いが故に無駄であると捉えているだけ過ぎず、最強への道に無駄な経験など一つも無いと云う事を貴方ご自身が御身を以て知る必要があるのではないでしょうか」と仰言り、スウプを九皿お召しになられました。
此れは真実の檻。其れは目に見えぬ理。
此れは誰が為のもの?何かに守られ知り得ぬもの?
甘く淡く摇らめく霧に包まれたら、綺麗な嘘で染まるこの身さえ
何もかもを隠して己すらも見えず、手探りな現状さえも決して悟られず。
- 专辑:夢想演舞 妖之理
- 歌手:六弦アリス
- 歌曲:スウプの檻