錨の羅針盤 声をかけては惑わせ 腕を伸ばして引き込む ほの暗い水の底では 死者の宴が開かれる 宛ら私は鳥籠 心に鬼を飼う 海鳥も浅ましく 錨の傍を飛ぶ 雁字搦めのプリマドンナ その声に誘われ 死者が踊る海の底に 縛られてる 一羽の優しい鳥は 光射す羅針盤 沈んだ命の船よ 面舵を取れ! 追い風に乗れ! 飛倉よ! 船に 千づる 火の粉を祓う 暁に揺れる水面 空に映える 星空遠く 連れる船の先へ 陸に降り立つ船乗り 灼熱地獄を歩く 歪な地霊の底では 鈍色の幕が掛かる 宛ら世界は鳥籠 決して逃げられない