魂喰みの魔女 -ヴィルメーテ-

人ハ無意識二 感情ノ種ヲ 大事二大事二 蒔キ育テルノ 種が芽吹コウガ 枯レテ腐ロウガ 「咲カセヨウ」トスル心ガ大事 -ナンテ奇麗事ヲ並べ 人ノ上二立ッテ サゾ御偉イ人ノ振リデ 他人ニハ無関心デ 痛メル事シカ知ラナイナラ 奪ウ事シカ知ラナイナラ 教エテアゲル ソレガオ前達ト同ジ 愚行ダト知リ 瞳二映ル 独リノ子供 人カラ人ヘト 宿リ木ノ様二 浸食シテクル 人ノ感情 ダカラ人ハ嫌イ ダケド アノ子ハチョット違ウ 私ハアノ涙ヲ知ッテイル ソノ雫ノ味 唯泣キナガラ父ト母ノ 息ヲシナイ体ヲ抱キ 憎ミ 悲シ

寂れた街角 独りぼっちのぼく 吐く息は白く 燃える火に溶ける 優しい母と 厳しい父と 仲良き友と 僕は過ごした 日々 鳥はうたい 花はわらい 風は包み 犬は駆ける 猫は眠る 空は青く 幸せな過去と今を紡いで また明日のぼくらは生きてく そんな日々が続くと信じ 生きてきたけど- それは突然 夕立のように 紫の火が この街を包んだ 人は叫び 逃げ惑って 魂を抜かれ 父と母は 僕を庇い 死んでいった 幸せな過去と今の終りは だいぶ近くに潜んでいた ぼくはただ独り残されて ただ泣き叫ぶ 大切なぼくの家族

森の中 穏やかな 鳥の声 風の音に その日々は輝いて 幸せに過ごしてた 嗚 儚い人生だったわ 何もかも失った今に嘆いて 誰を怨めばいいのか それすらも忘れ もう一度あの時が戻るなら アタシは魂喰みの女になろう 今 幸せに満ち 生き溢れている 人間たちの朱色に染まる 魂を喰ませて 森 モ 友 モ 家族 モ コノ肉体 焼カレ 爛レ 腐ッテユク 痛ミガ 怨ミガ 解ルカ 嗚 大事なモノを奪われる それも一残らず全て そう 全て- それを正義と翳して 手を叩き嗤う もしこの痛みを知らないのなら 爪を剥がれ