深い穴の底 はまって 落とされて 行き着いた不思議な世界 優しいウソの香り 花の思い出が忘れられなくて この胸を切なくさせる 手巻きの懐中時計 強がりすぎて 幼さ隠してきた私を ゆるく取り囲むとき 家族の残した忘れ物 夢はさめるものだから いまを楽しむことができる 続かない揺りかごの仕掛け 古いぜんまいが軋んで ほうっておいても止まってしまう 時よ 止まれと祈ってみる 絵本ひろげれば 香り ひろがっていく 古い本と太陽の熱 交じり合いながら消えていく うすれていくのはこれから 重ねるはずの年輪と